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2.電子メッセージの証拠能力
(1)電子的証拠の許容可能性
このように、従来の紙の書類に代えてEDIメッセージを使用して各種の取引を実施する場合、一般に、コンピュータに記憶されているデータ、コンピュータで読取り可能な形式(磁気テープ、ディスク等)に記憶されているデータ、これらデータのプリントアウト等は、証拠能力を有するのであろうか。あるいは、データが第1の会社(例えば、売主)のコンピュータに入力され、そのコンピュータで処理された後、電子メッセージとして第2の会社(買主)のコンピュータヘ伝送された場合、第2の企業(買主)のコンピュータに記憶されている当該データは、証拠能力を有するのであろうか。通常、証拠書類や証明書等は署名のある書面の形で作成されることが要求されるが、EDIメッセージの認証についてはどのように処理されるのであろうか。
多くの国の証拠法についてみても、特定のタイプの記録を、法的あるいは行政手続の証拠として容認するかどうかに関する規定の仕方も複雑であり、また、電子メッセージを証拠として容認できるかどうかについては、将来的には、いずれの国においても容認されることになると考えられるが、現段階では、電子メッセージの証拠能力にとって障害となるような特定の証拠法が存在している国もあることが指摘されている。欧州共同体委員会において、EDIの法的側面に関する研究が進められてきたが、その結論として、「証拠に関する規則が、EDIを使用するうえで、大きな障害となっている。」旨の表明がなされている。
なお、わが国を含む主要国の状況については、資料編に掲載した「コンピュータ記録等の証拠能力に関するUNCITRALの調査報告書」を参照されたい。
(2)合意または法律による保証
このように、電子的証拠の容認可能性については、疑問あるいは不確実な要素がかなりあるので、このような要素を最小限にするために、種々の取組みが検討されている。
1つは、「国連勧告第26号」が目指しているEDI当事者間のEDI協定書による問題の解決である。すなわち、本条の趣旨は、当事者間に紛争が発生した場合に、当事者が保持するメッセージの記録が証拠能力を有するものであり、かつ証拠として使用されることについて、いずれの当事者も異議申立を行わない旨の意思を明確にすることにある。
他の方法は、「メッセージ」の証拠能力を法律によって保証することである。すなわち

 

 

 

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